中小企業診断士 中陳和人の                 「夢をかなえるブログ」~目指せあの頂へ~

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映画「剣岳 点の記」

 映画「剣岳 点の記」を観た。
 大変素晴らしい映画である。
 涙が溢れ出て止まらなかった。
 そして、よくぞここまで監督はじめ役者の皆さん、スタッフの皆さん、山岳ガイドの方々、しんどい作業をやり遂げて下さったと、心から感心し感謝している。
 特に主役の二人、浅野忠信さんと香川照之さん。
 かっこよかった。
 彼らは間違いなく、これからの日本映画を背負って立つ人になるだろう。仲代達也と緒形拳の後継者ができた。

 さて今日は、元々全然別の用事があったのだが、突如その予定が空き、時間ができた。
 となると「富山県人が初日から観ないでどうするんだ!?」と矢も盾もたまらず、初日の一番目に観ようと、朝7時すぎには家を出発していた。

 今日は全国ロードショーに先がけて、富山県内のみ1週間前倒しで先行ロードショーである。
 初回は午前9時から上映だった。

 元々この映画は新田次郎さんの原作『剣岳<点の記>』(文春文庫ほか)に基づいている。
 私は、大阪で働いていた今から6年ほど前に、某通信大手の西日本本社総務部のOさんという人からこの本を紹介された。
 Oさんは地元が九州の人であるが、山登りが好きで、私が富山出身だと言うと、「ああ、それなら新田次郎の「剣岳 点の記」というのが面白かったけど、知ってる?」と聞いてきた。
 私が知らないと答えると、「面白いから是非読んでみたらいい」と勧められた。

 その週末に早速買いに行き、むさぼるように読み進んだ。
 淡々とした、ノンフィクションといった感じの小説だったが、大変重いものを感じた。
 ところどころを折り曲げたし、あちこちに線を引いた。
 ここではその感想は書かないが、五木寛之さんの『風の王国』ともやや通じるものを感じた。が、それはそれでまた別の話である。
 立山近辺の色々な山の標高を測り、地図を作るためにこんなに大変なことをしていたのか、と彼らの偉業に深く敬意を感じた。

 千年前の行者が剣岳の山頂に置いていったとおぼしき「錫杖」と「剣先」の記述のところでは、ずっと前に立山博物館で「錫杖」の頭部を見た記憶が蘇って来た。
 その時にはなんとはなしに眺めていたはずだが、あれがそれか!と強いショックを受けた。
 帰省時に立山博物館にもう一度見に行ったことは言うまでもない。
 人間の営みのすごさ、である。

 そういえば、映画の中でも柴崎測量官が「山に生かされている」という独言があったが、まさしくそうで、生かされているからこそ、行けるのである。
 それと、「自然の美しさは自然の厳しさの中にこそあるのだ」というような独言もあった。
 いずれも、役者が吐くセリフであるのだが、これらの言葉は、単にセリフとして発せられたのではなく、柴崎役を演じた浅野忠信さんそのものの心から出たほとばしりではなかったか、と思う。

 映像のところどころで松本清張の「砂の器」のシーンがいくつか重なって見えた。
 刑事役の仲代達也さんが自費で捜査に行こうとする時に、奥さんがへそくっていたお金を、旅費の足しに、と黙って差し出すシーンが、柴崎測量官と奥さんが出発に向けた仕度をしていたシーンとかぶさったり、犯人親子が逃避行のために嵐の中を歩いているシーンが、測量隊のメンバーが雪山を歩くシーンと何度も重なって見えた。

 映画が終わり、木村大作監督と柴崎測量官役の浅野忠信さん、宇治長次郎役の香川照之さんが舞台挨拶に出てこられた。
 いやあ、感激だった。
 私の席は舞台から50メートルぐらい離れていて、人が米粒ほどにしか見えなかったが、確かに間違いなくそこに浅野忠信さんや香川照之さんがいるんだ、同じ空気をこの会場で吸っているんだ、あの大変な難行をこなして映画に結実させた二人の名優が。ここに。
 と思うと、うれしくてしょうがなかった。

 今回はひたすら「静」の浅野忠信さんあっての「動」の香川照之さんだったのかも知れない。
 主役であるはずの(なぜなら柴崎測量官が測量したのだから)浅野忠信さん以上に、私にとっては香川照之さんが強く印象に残った。
 宇治長次郎が富山県人だからだろうか。
 それとも、もしかすると、実は、ひそかに、香川照之さんが主人公の映画なのかも知れない。

 宇治長次郎の妻佐和の役を演じた鈴木砂羽さんも、登場時間はほんのわずかだったが、強く印象に残った。染み入るような感じで私の心に残っている。
 明治時代の富山の健気な女。控え目でキリリとしていて優しさに溢れている女性。

 宇治長次郎と佐和。
 銀幕の中のこの二人って、真面目で謙虚で、でもどこかに進取の気性を持った明治の良き富山人の典型なのではなかろうか。
 富山県人の美徳がこの二人に収斂されているような気がする。
 私たちはそういう美しさをすっかり失ってしまったのかも知れない。
 この映画を県民みんなが観て、私たちが失ったものを少しでも思い出し、少しでも県民の本来持っていた美徳を取り戻すことにつながれば、と思う。

剣岳20070815
   【平成19年8月15日 立山登山路から撮影した剣岳】
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