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中小企業診断士 中陳和人の                 「夢をかなえるブログ」~目指せあの頂へ~

商店街の救世主たるか「まちゼミ」の取組

 ご縁があって、「まちゼミ」という商店街活性化のセミナーを聴講した。
 講師は「まちゼミ」の創始者であり、岡崎市の化粧品店㈱みどりやの専務取締役の松井洋一郎氏。
 
 岡崎市の中心市街地は全体で年商500億円あったのが、郊外型ショッピングセンターの進出によって70億円まで縮小したらしい。
 松井氏は同じ商店街の仲間とともに、イベント、町おこし、祭り、ホコ天、などなど様々な取組をしてきたが、イベントの時はそれなりに人々が商店街に繰り出すものの、各店の売上が上がるわけでもなく、イベント以外の時には街には閑古鳥が鳴いている状態から脱却できなかったらしい。
 それが「まちゼミ」という取組を始めたところ、個店に来るお客が増え、街全体も活気が戻ったという話である。
 しかもその取組の結果、岡崎市の中心市街地商店街では、当初11店舗で始め、最初の年の「まちゼミ」への来店客数は190人だったのが、11年後の今では130店舗で行われ3800人もの来店客になったとのこと。この間、閉店した店は1か所もないらしい。
 しかも全国の商店街が同じ取組を展開し、現在までに150か所で繰り広げられているとのことである。これまでに「まちゼミ」を始めてやめた商店街はわずか1か所のみ。つまりどこでも効果が表れているということだ。

 話を聞けば聞くほど、当たり前といえば当たり前のことをやっているのだと思う。
 お店で日常的に接客している商店主が、その持っている店の取扱商品などに関する知識やノウハウのごく一部を、「まちゼミ」というイベントの時に、あらかじめ予約して来てくれた客に、無償で提供する。しかもその時間中は、商品をお勧めしない=販売活動は停止する、というもの。イベント時間は通常60分と限定。これを商店街ぐるみで期間を決めて行う。
 松井氏の店では、初年度のイベント来店客数が10人、うちリピーターになった人が2人、11年後の今は来店客数が240人(イベント回数も増やしたらしいが)、リピーターが40人以上。これらのお客は固定客になっており、増収につながる。
 今どき、中心市街地だの商店街だので、増収などという言葉はついぞ耳にしたことがなかったので、びっくり仰天である。

 確かに、最近は、ものを買いに行った時に、それに関してとか、あるいは買う前の疑問点をお店の人に聞くということをあまりしない。
 私自身、先日、ある文具を知ろうと思って文具店に行ったが、ショーケースに入っていて、取り出して試用させてもらおうという気持ちにならなかった。出してもらっておきながら何も買わなければ店の人に悪いなあという気持ちが働いたからである。一方、同じメーカーの安価な商品はショーケースではなく、露出で展示されていたが、ショーケースの中のものと比較ができないから、それでいいのかどうかの判断もできない。
 かくして私は何もできずにその文具を買わず、店にしても顧客とのコミュニケーションはもちろん、販売チャンスをみすみす失ってしまったのである。
 現代はこのように店と顧客のコミュニケーションが希薄になり、ものの本当の情報がフェイス・トゥ・フェイスで伝わりにくくなっており、ビジネスチャンスも狭まっている。
 「まちゼミ」はこのような状況を打開し、商店街ならではの強み(情報に詳しい専門家=店主が直接来店者とコミュニケーションが取れ、聞きたいこと、知りたいことを顧客に対面で伝えることができる)を大いに発揮できる。年の功も存分に強みとして発揮でき、さらに店のファンを増やし、売上の確保・増加にすらつなげることができるというものである。

 富山県の全部の商店街で取り組んでほしいものだと心から強く感じた。
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